フェレットの繁殖は、各ファームによってほとんどが行われています。
では、フェレットを日本、個人で繁殖させることはできるのでしょうか。
そして、どんな繁殖の仕方でどんな赤ちゃんを産むのでしょうか。
ノーマルフェレットの繁殖のあれこれ
ノーマルフェレット。
生殖腺除去手術(避妊、去勢)と臭腺除去手術を受けていないナチュラルなフェレットのことです。
勿論、生殖器を持っていますので性成熟し発情します。
ノーマルフェレットのオスをフィッチ、ボブ、
メスをジル、ベビーをキットと呼びます。
性成熟
オス
生後7~10ヵ月
メス
生後8~12ヵ月
繁殖
発情(季節発情動物)
3〜8月(年に2回)
繁殖適用年齢
2〜5歳
交尾時間
10分〜3時間以内(平均1時間)
- メスをオスのケージにいれる必要がある
- メスのケージに何かが近づくと警戒し攻撃する
- 交尾は非常に激しく長い傾向がある
排卵時間
交尾後30~40時間
- 受精しなかった場合は40~42日間の疑妊娠の可能性がある
- 外陰部の縮小がなければ再度交尾ができる
着床
12〜13日
着床から分娩まで
29~31日
- 14日ころからお腹に固いシコリを確認できる
妊娠期間
およそ42日間
- 出産一週間前ころから、食事給水量が倍になる
- 出産2〜3週間前に隔離する必要がある(ストレス緩和、子食い防止)
- 出産間近に巣作りをする(新聞紙、布など)
- 出産は深夜から明け方が多い
卵子数
12
出産数
およそ8頭(1〜18頭)
メスのおっぱい
8個
- きちんと出るものは7個以下
- おしりに近い方が出がよい
- 母乳は、固形分23.5%、脂肪分34%、タンパク質25.5%、炭水化物16.2%で構成されている
赤ちゃんについて
出生時体重
6〜12g
人間の小指程度
開眼時期
およそ34日
聴覚開始時期
およそ32日
離乳時期
6〜8週
乳歯生え始め
およそ14日
乳歯生え替わり
56~70日
犬歯生え替わり
47~52日
大人になるまで
16週間(4ヶ月)
※この時期で成長が止まり、大人サイズになります
秋に体重が増え、春に体重が減る季節的体重変化がおきます。
自然界では30~40%もの体重変動することもあります。
繁殖期には、オスメス共に性ホルモン分泌量が一時的に増えます。
発情し、体重、被毛の色の変化がみられます。
発情期になると、オスは陰嚢(哺乳類のオスにおいて皮膚と筋肉から成る器官で、睾丸(精巣)を包むコブ状の突出部)に睾丸が降りてきます。
オスは特に体臭が強くなり、マーキング行動をたくさん行うようになり、大変攻撃的になります。
メスは外陰部がピンク色になり膨張します。
外陰部が膨張し始めて1ヶ月で最大になり、交尾後は2~3週間で元に戻ります。
フェレットのメスの繁殖が危険?!
ノーマルフェレットのメスは、繁殖に命を賭けます。
フェレットは交尾排卵動物です。
発情後に交尾が行われなかった場合は排卵が行われず、発情がおよそ4~6ヶ月間続きます。
そしてそのまま交尾ができなければ、
発情中に卵巣で分泌される女性ホルモン(エストロジェン)が血液中で高濃度に長期的に保たれてしまいます。
エストロジェンは骨髄の赤血球と白血球の産生を抑える働きをします。
そして、メスのフェレットは再生不良性貧血や血小板減少症といった死につながる病気になってしまうのです。
発情と日照時間
フェレットの発情期は日照時間の延長とともに開始されるため、自然下では年に2回の発情がみられます。
フェレットの繁殖場(ファーム)では、光周期をコントロールすることで、年中繁殖が可能になっています。
繁殖に関わる病気
エストロジェン誘発性貧血
ノーマルフェレットのメスだけにおこる病気です。
発情期が延長された(交尾していない)メスの50%が発症し、30%が死亡します。
発情してから1ヶ月以上放置するのは大変危険です。
交尾をさせるか、ゴナドトロピン放出ホルモンまたはゴナドトロピンの注射をすることで排卵を誘発させ防ぐことができます。
乳腺炎
大腸菌や腸内細菌、グラム陰性球菌などの感染が原因でおきます。
乳腺の膨張、変色、硬化、軟化の症状が見られ、授乳できなくなります。
それによってベビーは乳を飲めなくなって衰弱し、死亡します。
早期に抗生物質投与をして治療をし、場合によっては乳腺を切除することで悪化を防ぎます。
ベビーは人工保育に切り替えるしかありません。
膣炎
外部からの刺激や雑菌によって発症します。
出産準備の巣材として、木屑や干し草、スノコなどの木の床材を使った場合におきやすい病気です。
外陰部から黄色い分泌物がみられ、膣に異物がはいってしまうこともあります。
抗生剤治療と同時に寝床を改善することで防げます。
メスの死亡
母親の出産後の死亡のほとんどが感染症です。
- 初産による死亡率 11.4%
- 2回めの出産による死亡率 9.0%
- 3回めの出産による死亡率 5.8%
出産による体力低下とストレス、不衛生環境と雑菌やウイルスによる感染が考えられます。
出産をしない、回数を減らす、衛生管理に気をつけることでしか防ぎようがありません。
フェレットの宿命ですね。
新生子の死亡
生まれて数日以内のベビーは、脱水症状、体温低下、低血糖症がおきやすく、生まれたフェレットの死亡率はおよそ7%です。
胎盤にからまったり、母親に食べられてしまったり、育児放棄などで死亡してしまう仔も多いです。
奇形、早産、死産、逆子などの事故例も含まれます。
健康的なメスにストレスフリーで出産させることにより軽減できます。
こうやって、フェレットは繁殖しています。
リスクを背負って、頑張っているんですね。フェレットママは。
日本のほとんどはスーパーフェレットですが、ノーマルフェレットの赤ちゃん、かわいいですね。